体験記
左肩の粉砕骨折から6か月。転んだ日から、リハビリを測るアプリを作るまでの記録。
DAY 1
目の前でバスのドアが閉まった。走った。転んだ。左手をついた。
肩がおかしくなったのは、すぐに分かった。超絶激痛。
そこからのことは、よく覚えている。周りの方々が、ものすごく優しかった。声をかけ、励まし、救急車を手配し、見送りまでしてくださった。天使はいた。
LESSON
DAY 5
赤坂の病院で診察を受け、その場で手術日が決まった。あとで知ったが、肩関節の名医だった。
痛み止めは飲んでいた。時々激しく痛むが、直後よりはずっといい。それでも、手術がなかなか決まらないのは不安だった。
思い込んでいたこと
骨折したら、できる限り早く手術だと思っていた。実際は、骨が飛び出しているような場合を除けば、すぐではなく、腫れが落ち着く4日目ごろに行うのが普通らしい。
DAY 7
前日に入院。朝から手術。前日から絶食。
全身麻酔は初めてで不安もあったが、親切で丁寧な医師と看護師さんたちのおかげで、大部屋でもまったく問題なかった。
あまり覚えていない。
DAY 8
食事が戻ってきた。お粥のようなものだった気がする。
DAY 9 - 1 MONTH
最初の3日ほどはとても痛い。それでも痛み止めで大丈夫。2週間くらいは、寝るときの姿勢と、肩の下に入れるクッションで痛みを軽くする。
病院のごはんが、とてもおいしかった。しかも陶器で出てくる。ただし売店がない。それ以外に口に入るのは基本的に水だけで、時々2階まで行って医療スタッフ用の自販機でコーヒーを買う。非常に健康的な食生活だった。
大部屋だが、みなさんカーテンを閉めて過ごすので、個室とあまり変わらない。パソコンさえあれば仕事はできる。あるのは食事・検査・リハビリ・問診だけ。早朝から20時ごろまで仕事をしていた。仕事仲間が面会に来てくれて、そのまま打ち合わせもできた。
雑念も雑務もないので、
入院は意外と仕事が進む。
術後の数日目から、理学療法士の先生に毎日、丁寧なリハビリを受ける。退院直前、寝た状態で腕を上げる可動域は、150度くらいだったと思う。
1 MONTH
2 MONTHS
自宅にものが散らばっていた。そこに鳩の被害も重なった。このままでは、家の中で転ぶ。
転んだら、手術のやり直しかもしれない。当然もっと面倒な手術になり、予後も悪くなるかもしれない。とにかく転ばないでください、と言われていた。
地元でリハビリ先を探したが良いところがなく、手術した病院へ週2回通うことにした。どんどん良くなっていく感じがあった。
仲間と、その奥様が、何度も来てものを整理してくれた。家が見違えるようになった。
3 - 5 MONTHS
リハビリは週1回に。日常生活はほとんどできるようになった。時々ちょっと痛む程度。
ただし、この間に2回転んだ。2回とも、友人との飲み会の後だった。
年齢と肩のことを考えれば、軽く1次会までにすべきだった。幸い肩に影響はなかったが、肩を守るために顔面を使ったので、その分、顔にけがをした。
LESSON
6 MONTHS
前々から準備していた骨格動作の判定に取り組んだ。MediaPipe と ViTPose という AI のライブラリとモデルを使った。そこから生まれたのが「かたろぐ」。
私は数理AI科学者として、AIの演算そのものを変えることで、消費電力を小さくし、半導体チップの面積を削り、スループットを上げる演算方式を研究開発・実証している。かたろぐは、そのデモも兼ねている。
いずれ膝と背骨にも広げたい。あわせて、姿勢が大事な方々 ── スポーツ選手、トレーナー、モデル、バレリーナ、ヨガ、見た目が仕事に関わる方々 ── に向けた、良い姿勢の可視化と判定も提供しようと思う。
そしてその「かたろぐ」を、年甲斐もなく AI HACKATHON 2026 Powered by GEECHS JOB に応募してみたら、光栄にも本選の5人に選ばれてしまった。本選は8月22日。
ただでは転ばない。